コラム

広告マンガの強みに迫る(5)表現の幅が広い

広告マンガの知識

ターゲットに合わせた絵柄でユーザーの心を掴む

マンガには、さまざまなタッチがあります。
少年誌に掲載されるような王道マンガのようなタッチ、それよりも大人びた表情などの作り込みが行われる青年マンガのタッチ、キャラクターの目が大きくキラキラと輝いている少女マンガのタッチなどは代表例です。

また、英語になったmangaは、基本的には日本のマンガを指しますが、日本語のマンガは広い意味でのコミック全般を含みます。
このため、アメコミ風など、海外の作風を参考にした例もマンガ広告のタッチの種類に含めてよいでしょう。

ストーリーに応じて同じ作家でも背景の配置などの画風やタッチを変えることがあります。
有名なのは手塚治虫先生で、少年向けマンガでは背景の描き方などを全体的にシンプルなタッチにしていましたが、青年向けでは映画を意識した劇画調で、背景などを細かく描き込む傾向がありました。
また、少女向けマンガでは少年向けよりも全体的に上品なタッチが用いられていたり、小学生雑誌向けに掲載された有名作品のリメイク版では、人物やコマ割りを大きく描写したりなどの工夫を施していたことでも知られています。
これは、手塚治虫先生がターゲット層に応じた作画の使い分けの大切さを理解していたからだといえるでしょう。

広告マンガの場合もこれは同じです。少年マンガのエネルギッシュな主人公とストーリーに合った勢いのある絵柄のように、ターゲットに合った絵柄を採用することによって、同じストーリーでも、グッとイメージは変わってきます。
ターゲットの好む絵柄を用いれば、ターゲットにとってより大きな魅力を感じるマンガができるため、読んでもらいやすくなるのです。

表現幅は無限大?!過去現在未来、空想のキャラクターも

マンガ作品の表現の幅は、タッチのみではありません。
マンガでは、どんなシナリオでも追加コストをかけることなく、自由に描くことができます。これは、動画、特に実写を基本とした動画ではそうはいきません。

たとえば、創業50周年企業の創業物語をドキュメンタリー映画にしようと思ったとします。
この場合、若き日の社長の姿を表現するには、通常は俳優を雇って、その人に代役を演じてもらうこととなるでしょう。
50年前はまだスマホもハンディカムも出ていませんでしたから、すべてをうまい具合に残った記録映像だけで再構成できるほど、都合よく当時の記録映像は恐らくないと考えられるからです。

この代役は、うまく選べばメイクなどによって、ある程度かつての社長の姿に近付けることは可能かもしれません。
しかしながら、所詮は代役であり、顔立ちなども異なるため、よく見れば簡単に本人ではないことがバレてしまい、リアリティが失われてしまいます。
これを避けたければ、VFX技術の発達により、記録映像などを元に代役の上に若き日の社長の顔をオーバーラップさせることは徐々に可能になってきました。
しかし、その場合は代役俳優を雇う費用の上にさらなる追加コストがかかることになってしまいます。

したがって動画の場合、時間的制約を乗り越えるには、リアリティを諦めるか追加コストを払うしかありません。実写ではなくアニメであれば、マンガと似たようなこともある程度までできますが、この場合も作画費用に加えて声優を雇う費用など、さまざまな費用がかかります。

一方マンガであれば、過去や未来を表現するのにも、特別な追加コストは一切かからず、費用も一般にはアニメを含む動画に比べて安く済みます。
たとえば、創業者である老社長を過去のシーンのために若くするためには、社長のマンガ版からシワを減らし、髪の色を濃くしたり、髪の毛の量を増やしたりするだけで簡単にできてしまいます。
逆もまた然りで、若い社長が寿命150年を達成する医療技術の発展に取り組んでいる場合などでは、その社長のマンガ版にシワを増やして、100年先の老いた社長を未来から現在へと呼び出すことも容易にできるでしょう。

これができるのは、絵としての加工が容易だからからだけではありません。
マンガではすべてが多かれ少なかれデフォルメされているため、最初から部分的な架空性はお約束事として含まれています。
したがって、舞台設定については、あり得ないところからキャラクターがワープしてきたり、未来や過去にタイムスリップしたり、解説役キャラクターがストーリーの中で急に登場してきたりしても、それはお約束事の範囲内の説明を補強する手段だとみなされるのです。

想像次第で何でもかけるのがマンガのいいところ

時間移動などのシナリオの自由度以外で、マンガの表現の自由度を広げているのは、表現技法でしょう。

たとえば、動物や人形、場合によっては製品そのものが人型に変身して話し始めるなどの擬人化はその一例です。
擬人化では、動物や製品など人ではなく通常は人語を話すことがない存在の考え方を再現することが可能です。
このため、人間の視点を相対化しつつ補強し、製品の魅力をより強調する有力な技法になり得ます。

また、オノマトペもマンガの重要な表現技法になります。
効果音をうまく文字化することで、静止画のままでも、ユーザーが読んだときに人やモノの動きを想像しやすくすることができるからです。
これらの表現技法はマンガ以外の媒体に取り込むことは困難であることがほとんどです。
文章における擬人法は自然を神格化させた神話やイソップ寓話など、古代からありましたが、そもそも視覚的ではないという限界があります。

このように、マンガにはマンガにしかできない多才な表現技法があり、表現の自由度が非常に高いため、マンガをうまく活用すれば、これまでの広告にはなかった目新しい表現によって、人目を引くことが可能です。
今ある広告が飽きられていて、宣伝効果がマンネリに陥っていると感じている場合など目新しい広告の作成方法を模索している方は、ぜひマンガを取り込んで有効活用してみてはいかがでしょうか。

広告マンガの強みに迫るシリーズ 目次
・(1)マンガの強みを5つのポイントで紹介(2)読むハードルが低い(3)記憶に残りやすい(4)理解しやすい(5)表現の幅が広い(6)日本人はマンガが好きである
マンガビズ編集部

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