広告マンガは面白くない?ストーリー構成からみる王道パターンとは 広告マンガの知識
「広告マンガって、だいたい同じパターンだよね」とお話をいただくことがあります。マンガ制作を通じてビジネスの課題解決を目指すものとしては、非常に耳の痛い話です…。というのも、広告マンガをご依頼頂くのは「マンガって面白いよね」「マンガなら今までにないコンテンツを作れる」と高い期待値があるためで、同じストーリー、同じ展開ではこうした効果が薄れてしまいます。
では、他にない突飛な物語にすれば成功するのか?というと、そういうわけでもありません。広告マンガの目的はあくまでも商品の購買促進やサービス紹介にポイントが置かれるケースが多いため、”ストーリーは面白いけど商材理解に繋がらなかった”では本来の目的を達成できないためです。
こうして考えてみると、広告マンガのストーリーには2つのパターンがあることがあまり認知されていないのではないかと思います。
本稿では、まずパターンによるストーリー構成の違いと、「商材理解」を達成するための王道パターンがなぜ王道たるのか、という点について解説します。
目的は「認知拡大」か「理解」かでストーリー構成が異なる
広告マンガの種類を目的別に分類すると、表題の通り「認知拡大」か「理解」かの2種類になります。
認知拡大とは、たとえば会社やサービスの名前を知ってもらうことを目的にするものです。いわゆる広告がこれに該当します。
知名度を高めるためには、名前を効果的に宣伝する必要があります。テレビCMなどでは大手通信キャリアに代表されるようにキャラクターを起用してストーリー性のある広告を発信し、「このキャラクターは○○のCMだ」という関連性による認知を狙うものが多いです。
理解が目的になる場合は、例えば商品のメリットを説明したい、マニュアルをわかりやすくしたい、難しい商材をはじめて見る人でもなんとなく理解できるようにしたい、といったケースです。マンガを理解度アップのために使う場合は、例えばチラシの表面にマンガを使ってメリットを訴求したり、マニュアルをストーリー化して要点をつかみやすくしたり、という使い方がされることが多く、理解度を高めるためのマンガ自体が広告になることは相対的に少ないと言えます。
こうした目的からマンガが果たすべきミッションをまとめると
認知拡大 → マンガ自体が単体で独り歩きして、「このマンガ面白いね」「このマンガは○○の会社が作ったものなんだ」という”面白さ”による訴求を行う
理解 → マンガとその他媒体を組み合わせて、「マンガがあるおかげで分かりやすい」という”伝わりやすさ”による訴求を行う
という違いがあることがわかります。
冒頭で触れた「広告マンガって、だいたい同じパターンだよね」というのは、おそらく後者に対する意見なのではないでしょうか。
マンガの特性的にも「マンガは伝わりやすい、分かりやすい」というメリットを活かした「理解」のための広告マンガが多いため、相対的に後者に目が触れる機会が増えていることが理由だと思われます。
「理解」させるためのマンガのストーリーで重要なポイント
どうして広告マンガのストーリーが似ているのか?という点に戻ります。
多くの広告マンガは下記のようなストーリー展開になっています。
- 悩める主人公の登場
- 実際に起こりうる失敗エピソード
- 解決策を提示
- 解決
この構成は、「課題への共感→問題の深堀り→解決策の提示→解決策の裏付け→結果」という、ランディングページや広告動画のパターンと酷似しています。
何か悩んでいるユーザーに対して、自社の商材がいかに役に立つものなのかを説得するテンプレートと言ってもいいでしょう。
広告マンガのストーリーが似ているというより、広告の構成の「勝ちパターン」にそって作られているため「既視感がある」というのが正しい表現な気がします。
こうした「勝ちパターン=王道パターン」について、シナリオのポイントを見ていきます。
1: 悩める主人公の登場
広告マンガで達成したいこと
広告マンガは、マンガを制作し、読んで楽しんでもらうことだけではなく紹介される、商品やサービスなどを利用、購入してもらうことが最終的な目標と言えるでしょう。
そのためには、その商品やサービスを利用する必要がある人物を登場させることが多くあります。
重要な要素“共感”
例えばある育毛剤を広告マンガでPRしたい場合やはり薄毛に悩む人物を主人公に据えるパターンが王道だといえます。
育毛剤を検討している方により“共感”してもらうことが重要であり、その方たちに訴えることにより、育毛剤を購入していただける可能性も高くなります。
2: 実際に起こりうる失敗エピソード
より深く“共感”
“共感”してもらうことが重要と先述しましたが、例えば薄毛の場合何に悩んでいるのか、薄毛であることによりどういうマイナスな要素を抱えているかをエピソードを交えて表現できることは、マンガならではだと言えます。
エピソードに“共感”
例えば薄毛の場合、「薄毛であることが原因で、女性に振られた」や「周りの人に馬鹿にされた」、「年齢より老けて見られた」など様々ですが、そういった実際に起こりえるエピソードをマンガで表現することで登場人物に“共感”し、自分のことにように感情移入するということが可能になります。
そして“共感”することにより、より深く読者に商品やサービスのよさを訴えることが可能になります。
3: 解決策を提示
商品やサービスを登場させる
商品やサービスをPRしたい場合は、その商品によってどう悩みが解決されるかを提示する必要があります。
例えば育毛剤の場合、薄毛に悩んでいる主人公がその育毛剤を使用することにより髪が育毛され、悩みが解決されないことには単純に読者と悩みを“共感”したにすぎません。
独自のアピールポイントと根拠を添えて解決策を提示
しかし「この育毛剤を使えば薄毛が治ります」と伝えるだけでは、競合する他の商品やサービスとの差別化を図ることができません。
そもそも解決策の裏付けとなる根拠がないと、それは押し売りになってしまい、敬遠されてしまう理由となります。
また、競合他社と比べたときの、独自のアピールポイントを提示することが重要になってきます。
例えば「値段が安い」「生えてくるまでの時間が短い」「より多く生えてくる」「より多くの人が利用している」「有名なあの方が利用してる」など、他の商品にはない、あるいはそれを上回るメリットを提示することも大事な要素になります。
「権威性」「専門性」「信頼性」を示す【E-A-T】という言葉があります。これはGoogleが定義した言葉で、情報の信用性をもとに高品質なコンテンツであることを示すためのガイドラインとなるものですが、広告マンガのシナリオにおいても同じくE-A-Tを押さえることは重要と言えます。
4: 解決
2の実際のエピソードに関連し、実際に育毛剤を使い、髪の毛が生えただけでなく生えたことにより、どう登場人物の悩みが解決されたのか…という結論を描きます。
例えば「振られた女の子に、もう一度アタックしたら成功した」「馬鹿にされるどころか、かっこいいと褒められた」「笑顔が増えた」など。
登場人物の人生がどう好転したかをマンガで表現してあげることで、読者は「自分も同じ体験ができるかもしれない」と考え、行動に移りやすくなります。
理解しやすさと面白さは別のベクトルである
広告マンガのシナリオの王道パターンの一つとして
1: 悩める主人公の登場
↓
2: 実際に起こりうる失敗エピソード
↓
3: 解決策を提示
↓
4: 解決
と紹介しました。
実際に商品の購入を検討している方などは「本当に効くのか」、「お金の無駄遣いにならないか」、「値段が高いんじゃないか」など商品に対しても様々な不安を抱えています。
その不安要素を取り除き、商品の購入を促す――
広告としての重要な役割を、こうした王道パターンをマンガで用いることで、より印象的に訴求することが可能になります。
冒頭で出た「似たような話が多い」という広告マンガの印象には、紐解いてみると「面白さを追求して覚えてもらう認知拡大用のマンガ」と、「わかりやすさを追求して理解してもらうマンガ」とではベクトルが異なるという背景があります。
また、当然王道パターンを使っているから面白くならない、ということではありません。あくまでこれはストーリーの雛形であり、マンガの面白さを決めるのは「セリフ運び・言い回し」「適切なコマ割り」「絵の演出」「舞台設定」「キャラクター性」といった要素によるものです。
そこはシナリオライターの力量と、どこまでの表現が許されるかという発注者側の裁量に委ねられます。
ここまで王道パターンを紹介してきましたが、マンガビズではシナリオの使い回しは一切行っておりません。似たようなシナリオ、パターンでは飽きられてしまうからです。
印象を強く残し、理解度も高いマンガを作りたい…そんなときは、一度企画の部分からご相談いただければと思います。
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