2021年にマンガ業界・マンガ広告業界で予測される7つのこと
激動の2020年が終わり、2021年の幕が開けました。
2021年1月現在、コロナ禍のこの状況を誰が予測したでしょうか?
人々の生活様式も変化した中で、マンガ・マンガ広告業界にはどんな変革があったのか、そして現在進行形で、これから何が起こりうるのかを予測してみたいと思います。
1:youtubeマンガチャンネル化の波
コロナ禍の中で一度こういうニュースが流れました。
YouTubeが動画を再生する際の画質を標準(SD)に変更すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大でストリーミングサーヴィスの動画の再生需要が急増し、ネットワークへの負荷が高まっていることが背景にある。
コロナ禍において、家にいる機会が増えたと同時に、youtubeを視聴する機会が増えたことが画質を落とした要因だと、アナウンスされていたように、自粛期間がYoutubeを視聴する機会になった方は多いのではないでしょうか。
Youtubeを観る人が増えるということは、個人、企業がYoutubeで動画をチャンネル化し、広告収益を得る流れは、今後も増え続け、マンガ広告業界においても2019年あたりから急増した、youtubeマンガチャンネルが2021年以降さらに増加する傾向が予想されます。
また2021年に注目されるのは、企業公式のyoutubeチャンネルです。近年、公式チャンネルで、マンガ動画を積極的に配信する企業が登場し注目されています。
近年では、マンガを使った実験的な動画が増えており、企業のブランドイメージを覆すような、手法で作られています。
2021年もあんな企業がこんなマンガ動画を!?という広告が登場するのではないでしょうか。
2021注目の企業チャンネル
「あったらいいな」をカタチにする 小林製薬
https://www.youtube.com/user/kobayashicojp
またベクトルは違いますが、漫画家自身が動画に登場し、制作過程を公開したり、視聴者の要望に応えたりなどのチャンネルも増加してきており、漫画家志望者の教材になっていたり、普段ベールに包まれていることが多い漫画家の制作風景などが観れるようになってきました。
漫画家・イラストレーターが配信しているyoutubeチャンネル
さいとうなおき
https://www.youtube.com/channel/UCxuipVSw8ajLZPgSyKmw6Ag
オクショウ漫画教室
https://www.youtube.com/channel/UCDiYjgMzZpGHF_VPiygOvcg
2:SNSでの新たなマンガ展開
まずは2020年にSNSでバズったマンガを見てみましょう。
https://twitter.com/denki_gai/status/1320709169926729728/photo/2
https://twitter.com/u_kkaa/status/1320691361239105537/photo/2
https://twitter.com/magomaggot/status/1337631958654861314/photo/2
今やTwitterや、インスタグラムでのマンガ投稿は、マンガ家の登竜門だけでなく、連載せずとも、インフルエンサーとしてマネタイズできるようにSNS漫画家は、新たな”職業”として確立されてきました。
最近SNSでのマンガと言って、思い浮かぶのは、おそらく”100日後に死ぬワニ”ではないでしょうか?
SNSでバズったあと、書籍化やメディアミックス化され、ワイドショーなどでも大きく取り上げられ、SNSマンガの認知度を大きく拡大する出来事でした。
SNSマンガがバズるキーワードとして、よく挙げられるのが
- 毎日投稿
- エッセイ風
- 他媒体からの流入
SNSでは少年マンガのような、ファンタジー要素のものよりも、身近な出来事などをつづった、エッセイ風のマンガが気軽に読めて、内容も理解しやすいためか、よくバズる傾向があるようです。
また一度バズると、ネットニュースなどで取り上げられ、そこからさらに流入され、読者が増える傾向が見られます。
漫画家の認知度が上がると、拡散案件として、広告を自身のSNSで拡散させたり、マンガ雑誌や、マンガアプリなどで連載の話が、SNSから持ちかけられたり、マンガ家として収入を持続的に得ることが可能になってきました。
2021年以降もこの傾向は続くと予想されます。
コロナ禍での日々や、オリンピック関連のエッセイ風マンガが続々と投稿されるのではないでしょうか。
3:増えるマンガ家、ウェブトーン作家志望者
2020年、マンガ業界の一大トピックと言えば“鬼滅の刃”の社会現象かと思います。映画の興行収入が歴代記録を更新したり、もはや説明不要なほど、ムーブメントを起こしています
“鬼滅の刃”がもたらしたものは、マンガが持つ、コンテンツの魅力と可能性をさらに高め、“マンガはこれだけ、人々を魅了することができるんだと”漫画家やクリエイターに夢を与えてくれました。特に漫画家と言う職業に憧れを持ち、志望する若者が今後急増すると予想されます。
それに加えて、出版社やマンガアプリを運営する会社側も、新人を発掘するためのコンテストや企画を展開しており、LINEマンガは作品を投稿するだけで、投稿者全員に、最大10万円分の応援アイテムがもらえるキャンペーンを実施しており
http://manga-blog.line.me/ja/archives/84273433.html
※応募は締め切られています
いかに新人発掘に力を入れてるかがうかがえます。
さらに、韓国や中国では、ウェブトゥ―ン(縦読みカラー漫画)が一大ムーブメントとなっており、漫画家志望者が急増しているとのことで、週刊少年ジャンプは、日本人以外の漫画家志望者を対象とした漫画賞を実施し、有名作家である審査員陣を驚かせ、大きな反響を呼びました。
https://medibang.com/contest/jumptezuka100th/award/?locale=ja
韓国マンガ市場についてはコチラをご覧ください
このように日本の”マンガ”コンテンツは、ビックビジネスに発展する可能性を秘めていることから、海外から漫画家志望者が多く、流入してくることが予想されます。
4:マンガコンテンツのメディアミックス化の加速
マンガはマンガのみならず。
鬼滅の刃がメディアミックスでもたらした、経済効果は2000億円以上にのぼり、さらに増加すると見られています。
これだけのビックコンテンツに成長する土壌があることが示されたことによって、より”マンガ”に対する、市場の目が注目を浴びることが予測されます。マンガにとって、アニメ展開は、作品をヒットさせる、最も重要な要素の一つとなってきました。
またアニメに関してだと、アマゾンプライムやネットフリックスなどの、月額制動画配信サービスの台頭の影響も大きく、以前ならアニメは、テレビ視聴や録画、DVDの購入かレンタルしないと見れなかったのが、スマホでどこでもいつでも見れるようになったことでより多くの人が、アニメを観れる環境になりました。
鬼滅の刃のような、アニメを観てファンになった人の、マンガへの逆輸入が起こっています。
またONE PIECEや進撃の巨人など、多くの人気マンガ作品の海外での実写化が進行中で、
https://news.merumo.ne.jp/article/genre/10137579
日本のマンガは、海外のクリエイターからも大きく注目されており、この流れは2021年さらに加速すると予想されます。
5:2021年、官公庁・自治体のマンガ活用
まずは2020年に官公庁・自治体で活用されたマンガをご紹介します
東京未来ビジョン懇談会
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/future_vision/output/manga.html
神奈川県 「M・A・S・K」の徹底を! かなかなかぞく
https://www.youtube.com/watch?v=CTNmo1PnTi4&feature=emb_title
官公庁・自治体のマンガ活用は、実は以前から活発に行われています。難しそうなイメージの強い、官公庁・自治体がマンガを使って情報発信をすることによって、若い世代にも、より興味促進の効果を狙って制作されますが、特に2020年に予定されていた、東京オリンピック開催では海外から来日する、外国人にも分かりやすくマンガを使って、日本の文化を知ってもらうために制作するケースが増加しましたが、コロナの影響で、鈍化したかたちになります。
ただ自治体のコロナ対策などが長引くと、神奈川県のように、マンガ動画を使った注意喚起が行われる可能性が高いです。
さらにベクトルは違いますが、自治体のマンガ活用で近年キーワードになるのが“聖地巡礼”です。
実際にアニメなどで、登場した所在地をアニメのファンが訪れる聖地巡礼が非常に話題を呼び、実際に自治体も協力し、聖地巡礼による地方の活性化を図っています。
https://animetourism88.com/ja/88AnimeSpot
6:マンガ表現における規制の強化
近年少し話題になったのが、「BL規制」と呼ばれるもので、いわゆるBL=ボーイズラブは不健全図書に当たるのかという論争です。
不健全図書に指定されると、18歳未満への販売は禁止され、Amazonなど一部の販売サイトでも規制がかかります。
男性向けのポルノマンガは規制がかかるのに、女性向けはいいのか?などの論争がネットなどで行われ、実際に2017年に行われた東京都の青少年健全育成審議会では不健全図書指定された、5冊のうち3冊がBLマンガで年々BLへの風当たりは強くなっている傾向があると言われています。
一方でBL市場規模は年々増加傾向にあり、この議論は2021年も継続されるのではと予測されます。
さらに、10年前、20年前に放送されていたアニメが動画配信サービスにより手軽に子供でも鑑賞できるようになったことで、いたずらで、スカートめくりや女性の胸を触るなど1980年代・90年代の少年マンガなどではよく見られるような性的表現を使っていた作品に対してクレームが来る事例も起こっているとのことで、表現を規制するのか、それともコンテンツの閲覧に規制を設けるのか2021年もより議論が激化しそうです。
7:マンガアプリの躍進
マンガを読む形式が、紙から電子へと移る流れは、ここ10年ほど加速してきました。
集英社や、講談社など、大手出版社のマンガアプリだけでなく、LINEやカカオトークなどIT企業のマンガアプリ、スクウェア・エニックスやサイゲームスなど、ゲーム会社のマンガアプリ等々、以前はマンガ制作のほとんどが、マンガ雑誌を発行する出版社によるものだったのが勢力図が大きく変動してきています。
それぞれのマンガアプリの運営会社は、漫画賞を頻繁に開いたり、気軽に持ち込めるよう、WEB持ち込みを始めたりと新人発掘のために力を入れており、2021年には、マンガアプリ発での大ヒット作品がさらに生まれると予想されます。
LINEマンガとピッコマの売り上げが、他のアプリとは一桁が違う売り上げであることから二強体制が2021年も続くのではと予想されます。
さらにここに割り込んでくるのが、集英社のジャンプ+になります。ジャンプ関連のアプリだけあって、作品のクオリティは高く本誌にも勝るとは劣らない作品がランナップされています。
それを物語るように先日発表されましたマンガ大賞2021には、『怪獣8号』や『SPY×FAMILY』などジャンプ+発の作品がノミネートされ、大きな話題を呼んでいます。
まとめ
時代が変わるにつれ、マンガは紙から電子に、アニメはテレビからスマホに人々が触れる機会や頻度は、大きく変化してきました。
ただ読者や視聴者の環境は変われど、いつの時代も“おもしろい”マンガが人々を魅了することは変わりありません。
市場の裾野が広がるにつれ、多くの作品が産まれ、アイデアはどんどん流出され、新しいものが産まれにくくなる中でも、“おもしろい”作品を追求し続ければ、それと同時にマンガも発展していくのではないでしょうか。
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