TOP マンガ制作コラム 広告マンガの知識 広告マンガの作り方 6)タッチをどうやって決めるか

広告マンガの作り方 6)タッチをどうやって決めるか

広告マンガの作り方 6)タッチをどうやって決めるか

マンガを制作する上で、マンガの絵柄、つまりタッチを決めないといけません。広告マンガの場合は、タッチが事前に決まっていない場合、制作会社によって多数の作家から選ぶことが可能になります。

タッチは作家により千差万別で、これまで多くのタッチが生まれてきました。

この作家を選ぶという作業こそが、ある意味タッチを選ぶということにつながり、そしてマンガのテイストのみならず、その広告効果に大きく影響することになります。

1:時代によって、タッチの流行が変化する

マンガのタッチは、時代により、さまざま変化してきました。

特に絵を描く際のツールが、アナログからデジタルに変わることによって、様々な表現方法が可能になり、作家さんの技術の裾野も広がり、個性的な作家さんや、卓越した技術の作家さんも増えてきました。

それでは時代によってどのようにタッチが変化してきたか、それは商業マンガの歴史を見ていくと、分かりやすいです。

マンガ創成期

最も古く、世間一般に知れ渡っている“タッチ”でいえば『北斎漫画』というマンガがあります。

その名のとおり、江戸時代に葛飾北斎が描いたマンガで、浮世絵風に描かれたタッチは、ジャンプで連載されていた仲間りょう作『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』などで描かれ人気を博し、今でも、CMなどの広告にも使用されるほど、広く一般的に認識された、“タッチ”と言えます。

手塚治虫の時代

戦後、”マンガの神様”と言われた手塚治虫は今の時代に続く、世界に誇るマンガ文化を築き、そのあとに続くマンガ家たちに、多大な影響を今も与え続けています。

手塚治虫が発明した”タッチ”は、手塚治虫自身もディズニーから大きな影響を受け、ディズニースタイルとも呼ばれました。

その特徴としてキャラクターは、目・鼻・口・髪などのいろんなパターンのパーツ(記号)の組み合わせでできたモノで、さらに、コマ・吹き出し・効果線などのパーツ(記号)も組み合わせることで表情、表現豊かなマンガがつくられていくというもので、今では当たり前のように描かれているマンガの手法は、手塚治虫が発明したと言っても過言ではありません。

劇画ブーム

50年代後半には『幽霊タクシー』『忍者武芸帖』など、青年向けのリアルな描写のマンガが辰巳ヨシヒロによって「劇画」と名付けられ、後の「劇画ブーム」の先駆けになります。

手塚治虫と劇画を受け継ぐマンガ家たち

この手塚治虫が確立したマンガのタッチと、”劇画”と呼ばれるタッチはその後、多くの作家にその”タッチ”を受け継ぎ、進化してきました。

特に、60年代に入ると、トキワ壮で有名な、“藤子不二雄”、“赤塚不二夫”、“石ノ森章太郎”など、今でも国民的な作品を生み出してきた作家たちは手塚治虫に憧れ、その手法を自分たちなりに進化させました。

一方で、“さいとうたかお”や川崎のぼるらを中心にした劇画作家たちも活躍します。

若者向けにつくられた劇画は、その当時、盛んだった学生運動と相まって、社会的なブームになりました。

この手塚治虫が作り上げたタッチと劇画タッチは50年以上たった今でも、広く知られ、好まれるタッチです。

広告的にも、インパクトがあり広告マンガの制作で劇画タッチのご依頼は多くあります。

マンガ雑誌の登場

70年代に入ると、マンガ産業はより一層活性化し、その人気とともに、次々マンガ雑誌が発行され、新進気鋭のマンガ家が登場し、それに比例し”タッチ”も増えていきます。

大きな動きでは、『ベルサイユのばら』『エースをねらえ!』などがヒットして”少女マンガ”の人気にも火が点きます。

少女マンガは、それまでの手塚治虫風タッチや、劇画タッチとはまた一線をきす”タッチ”を確立していき、現代でも少女マンガは独立したマンガ文化を築いてきました。

2Dから3Dへ、マンガ技術の進化

1980年代は、手塚治虫からも「後継者」として認められていたという鳥山明が活躍、この天才の登場によって、マンガは平面的な絵(2D)から立体的で奥行きのある絵(3D)に進化したと言われています。

そして、その鳥山明に負けず劣らない天才たち、“あだち充” “大友克洋” “宮崎駿”らの活躍によって、マンガ界に新風が吹きました。

『ドラゴボール』『AKIRA』『風の谷のナウシカ』(1984)などが大ヒットして、日本のマンガ・アニメは世界からも注目を集めるようになります。

このころには、それぞれの作家が、それぞれの”タッチ”を作り上げ、いわゆる”オリジナリティ”が重要視される時代がやってきます。

そのためマンガの”タッチ”もより多種多様に増えていきます。

確立された、少年マンガの黄金期

90年代に入ると、少年ジャンプを筆頭に少年マンガ雑誌がマンガ文化の先頭にたち引っ張っていくことになります。

ドラゴンボールやスラムダンクに見られるような整ったきれいなタッチだけではなく、荒々しくも迫力があり“動き”を重要視した”タッチ”が増えていき、手塚治虫風、劇画風、少女マンガ風に続く少年マンガ風という”タッチ”を築き上げます。

メディアミックス化されていくマンガ

2000年代に入ると90年代の少年マンガ一大ブームを皮切りに、ヒットしたマンガはもれなく、アニメ化や実写ドラマ化、ゲーム化などメディアミックス化されていきます。

マンガのみならずアニメ、さらには秋葉原と言う場所がポップカルチャーの中心として、世界に紹介され、オタク文化というものが注目され始めました。

そんな動きから、”萌え”という言葉が生まれ“萌え系”というテイストやタッチが生まれます。

単純にかわいい少女を描くことが”萌え系”と認識されがちですが

その中には、アニメやゲーム、アイドルなど様々な要素から生まれたものが含まれており。

また冒頭で説明したように、デジタルツールの進化で表現できる幅が広がったことにより、デッサン力や、色彩豊かな色使いなど、技術面でも高度なテクニックが求められるようになりました。

SNS発のマンガ

一方でSNSというツールが出てきたことによって、それまで雑誌や、単行本、WEBマンガなどでしか、マンガを売り出すことはほとんどできませんでしたが、2000年代から2010年代にかけて、Twitterやインスタグラム、ファイスブックなどのSNSが急速に発展していった結果、誰もがマンガを描き、世界の人々に発信することが可能になりました。

特に、自身の体験などを時間をかけずに、キャラクターをデフォルメしシンプルに描いた、エッセイマンガがSNS発で人気になり、その中で、エッセイマンガ風やデフォルメなどのタッチが人気になっていきました。

このように、その時代に流行ったマンガだけでなく、文化などをも巻き込み、タッチは、様々に枝分かれしていきました。

2:タッチによって、ターゲットが変わる

時代によって、タッチが変化してきた言いましたが、つまりは、タッチによって、訴求しやすい年齢層が自ずと設定されることにもなります。

例えば、10~20代の女性向けに広告マンガを制作する際に、劇画タッチでマンガを制作しても訴求率は低く、やはりよりその年代が少女マンガやアニメで慣れ親しんだ少女マンガ風のタッチ、あるいはかわいいテイストのデフォルメタッチを選択することが有効と言えます。

逆に団塊の世代である、50~60代の男性に少女マンガのタッチで描いても、訴求することは難しいと言えます。

スポ魂マンガやヤンキーマンガなど、その時代に流行り、その世代が慣れ親しんだ、劇画タッチなどを用いることで、親しみやすさ、さらにその世代をターゲットにしていると言う、分かりやすさも同時にアピールできます。

これは偏に、マンガそのものが、何十年にもわたり国民的な娯楽のツールであり、誰もが少年・少女時代に一度はマンガを楽しんだ経験があるといえるくらい浸透しているため、性別や世代によって、好みが分かれると言えます。

3:業界や商品によって、タッチを変える

広告マンガで何をPRするかによっても、考えてタッチを選らばなければいけません。

例えば、タスク管理アプリや会計ソフトなど、ビジネスで使うツールをPRする際は、そのツールの内容にもよりますが、実際の現場でそのツールを使う場面を、想起できるリアルなタッチでマンガを描くことで、よりリアリティをもって、その商品を紹介することができます。

そのほかにも、その業界がもつイメージを逆手にとることも可能です。

例えば男性が多い建築業界などはどうしても肉体労働で過酷な労働というイメージを少なからず持たれがちで、実際の現場とは違うイメージを、誇張されて持たれることにより採用活動に支障をきたすこともあります。

そのため、劇画タッチや、格闘マンガタッチで描くと業界のイメージにはピッタリかもしれませんが、よりガテン系のイメージが強く出るため、より幅広い人材を採用することは困難になります。

そこでガテン系のイメージとは違う丁寧なリアルなタッチ、あるいはデフォルメタッチなどで描くことでそういうイメージを払拭することが可能です。

まとめ

広告マンガでタッチを選択することは、例えばCMの場合だと、出演者を選ぶのに近いと言えます。

例えば、10代、20代の若者向けの商品をCMでPRする場合、やはり10代、20代に人気の芸能人やスポーツ選手などを起用することが多いと思いますが、その他多くのCM・広告の中から、注目され、商品ならば購入に辿り着くためには、よりその年代や、性別、学校や企業などの特定の組織など“誰に”を想定してPRするかが、タッチを選ぶ際でも、準備として重要になります。

どのタッチで訴求すればいいか、あるいは多くのタッチがある中、どのタッチがいいのか分からないなどでお悩みの方はぜひ弊社マンガビズにご相談ください。

その他、広告マンガの作り方シリーズのコラムは以下からご覧ください。

おすすめの記事

コラム一覧に戻る

お問い合わせ・お見積りはこちらから

お問い合わせ内容に応じてサービス紹介資料・作家サンプル・事例集をお送りさせていただきます。

お問い合わせ・お見積り

お見積り・ご質問など、お気軽にご相談ください。

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

お急ぎの場合はお電話をご利用ください。

TEL03-6276-4460

受付/平日 10:00-18:00