TOP マンガ制作コラム マンガの作り方 依頼が多いクリエイターになるためには(1)~依頼が来るまでの道のり~

依頼が多いクリエイターになるためには(1)~依頼が来るまでの道のり~

依頼が多いクリエイターになるためには(1)~依頼が来るまでの道のり~

広告の場合、制作作業を、フリーランスの作家さんに依頼することが多くあります。

筆者が広告マンガ制作の仕事に就いてから、おおよそ数百人の作家さんの作品を拝見し、時には直接会い、お話をさせていただきました。

中には何度も商業誌での連載経験がある方や、専門学生で商業誌での連載を目指している方。主婦で、家事の空いた時間に絵を描いてる人など、それぞれがそれぞれのバックボーンをお持ちでした。

しかし、みなさん“絵を描く仕事がしたい”という点では共通していました。

ただこの日本には、マンガ家やイラストレーター(以下クリエイター)、またはそれを目指している方の数は非常に多く、競争率も高いです。そのため、マンガ・イラストの制作業務で生計を立ててる方は、一握りの方と言っていいのが現状です。

そんな多くのクリエイターの中でも、クライアントやディレクターの評価が高く、依頼頻度が高いクリエイターの特長とは、単純な”絵のうまさ”だけじゃない。実際に広告の現場で業務に当たり、数多くのクリエイターを見てきて気づいた点です。

1:まず第一にポートフォリオを用意―ポートフォリオがスタートライン―

多くの場合、依頼するかどうかを判断するものはポートフォリオと言われる、クリエイターそれぞれの作品集です。

多くのクリエイターがいる中で、ポートフォリオがない状態で依頼してほしいと言っても、依頼する側は非常にリスキーです。

例えば連載を目指しているのに、出版社に原稿も持たず、「連載させてください!」と言いに行っても、門前払いをくらうのと同じです。

もちろん連載経験や出版経験がある方は、ポートフォリオがなくても著作物があればそれがポートフォリオになりますが、そういうものがない方は、どのような絵が描けるか、どのくらいの経験があるか、それを明確に提示できるものがないと、発注者に信頼感や安心感を与えることは困難と言っていいでしょう。

人柄を重視することも、もちろんありますが、クリエイターの業務は人柄だけでは乗り切れるものではなく、案件をこなすための、技術と経験、そして発注者との信頼関係が必要です。

実際に、案件の依頼が多い方は、ポートフォリオを作りこんで、どういう案件に対応可能かを、しっかりと提示してくれています。

初心者はどうすればいいか

では『初心者では無理なのか』ということを聞かれることがあります。答えはYESでもありNOでもあります。

YESというのは、先述したように、自らの作品を提示できない状態ではいくらエージェントや制作会社が間に入ったところで、交渉のスタートラインには立てません。

NOというのは、たとえ仕事として制作業務を行ったことがなくても、趣味などで作品を描かれたことがある方であれば、チャンスは十分にあります。

マンガであれば、連載経験がなくても、持ち込みや投稿をした作品があれば、れっきとしたポートフォリオになります、SNSなどで投稿された作品でも構いません。

まずはどういう形であれ、スタートとして、自分の作品をプレゼンできる資料をまずは作ることが大事です。

スタジオジブリの宮崎駿さんがインタビューで、新人が成功するために必要なことは

「お金にならない、実績にもならないようなつまらない仕事でも、一生懸命やる人間、アイデアを惜しみなく注げる人間」

と答えてらっしゃいました。

特に新人の方は、例え稿料が低く、実績になりづらいものでも、自分のポートフォリオになると思って、アイデアを惜しみなく注ぎ、楽しんで作業してみるのもいいのではないでしょうか。

ポートフォリオを作ったことがない方へ

ポートフォリオの作り方がわからない、作ったことがない方は、最近ではネットで簡単に自分のホームページが作れるものがありますし、クラウドソーシング、SNSに上げる方も多くなってきています。

弊社ではクリエイター様のポートフォリオとして、無料で活用できるサービスをご用意しております。

ポートフォリオを作るのが面倒くさい、どうやって作ればいいのか分からない、SNSなどで見られたくない方はどうぞご連絡ください。

どういった方法であれ、まずはポートフォリオを作ることがはじめの一歩になります。

2:どんなポートフォリオが理想的か―何を求められているかを理解する―

初心者の方は、どんな絵を描いていいかわからない方もいらっしゃると思います。

ポートフォリオを作った段階で、すぐに仕事を依頼されるかというと、なかなかうまくいくことの方が少ないでしょう。

ではどういったポートフォリオを作っていくか。

単純に数が多いからいい、というわけではなく、商業誌であれば、編集者。広告マンガであれば、案件を依頼するクライアントやディレクター、エージェントは数多くのポートフォリオを目にします。

恐らくクリエイターが考えている、何倍も多くのポートフォリオを見て、誰に依頼するかを判断します。

そのためまずは多くのクリエイターのポートフォリオの中で、発注者の目に留まる必要があります。そこで重要なのが、発注者側が、どういうクリエイターを必要としているかが鍵になります。

例えば商業誌であれば、少年誌に40代50代に向けたマンガを投稿しても目に留まることはなかなか難しいでしょうし、少女マンガ雑誌に少年マンガを投稿しても同じです。

それは作品のいい、悪いの前に、先方の求めているものと相違があるということです。もっと言えば、その先の読者に求められているものと違う、という見方にも繋がります。

弊社の広告マンガで言えば、リアルな描写や、オフィス、ビジネスマンが登場する機会が多く、また商業誌の連載マンガと大きく違う点は、カラーでの着彩が多くを占めるため、ファンタジー作品が多いポートフォリオや、モノクロしかないポートフォリオでは、発注者側も判断しづらいのが現状です。

自分の好きなものだけしか描かないで、仕事の依頼が来れば、それに越したことはありませんが、もし依頼が来ない場合は、発注者側が求めているものを、提示できていないということのあらわれと言えるかもしれません。

何を求められているかをヒアリング

もし発注者が何を求めているかわからない場合は、例えば少年誌で連載したい場合は、その少年誌に掲載されているマンガを読むと思いますが、広告マンガの場合は発注者サイドの事例などを見たり、直接担当者からしっかりとどういうテイストのものが求められているか、ヒアリングすることも大事です。

待っているだけで仕事が舞い込むことは、そうそうありません。

ポートフォリオを定期的に更新の重要性

依頼が少ない人の特長で多いのが、ポートフォリオの更新が少ないのが挙げられます。依頼が多い方は、依頼が多い分、自動的に成果物も増えていきポートフォリオの作品も増えていきます。

またやはり、依頼が来る来ないに関わらず、絵を描くことが好きな人は、どんどん空いた時間に絵を描いて、ポートフォリオがどんどん増えていく循環ができており。

ポートフォリオが更新されていないと、
「この人はほんとに絵を描くのが好きなのかな?」
と疑問に思ってしまう場合もあります

様々な理由で、筆が止まってしまっている人もいるとは思いますが、もしも時間があるのに、筆が止まってしまっている人は、そのあたりの意識をもう一度、見つめ直す必要があるかもしれません。

3:SNSでの活動は必要か―SNSは非常に強力な武器―

SNSで、非常にフォロワーが多く拡散力もある方は、それだけで非常に強力な武器となり、発注者側の信頼感も得やすいのが現状です。

今や群雄割拠のSNSの中でフォロワー数を増やすことは、容易ではありません。それだけにSNSの影響力はそのままそのクリエイターにとっての価値としてアドバンテージになります。

実際にSNSのフォロワーが多い方限定で依頼したいという案件もありますし、制作会社によってはフォロワーが何万人以上の作家限定で、案件を依頼している会社もあります。

SNSをやっていない方

では逆にSNSをやっていないと、依頼はないのかというと決してそういうわけではありません。

一概には言えませんが、SNSのフォロワーが多い方はその分、依頼する際の費用も高い場合が多かったり、スケジュールが合わないなど案件を容易に依頼できないなんてケースも多々あるためです。

最初に紹介した通り、重要なのは、発注者が求めている作品とマッチするポートフォリオがしっかり用意されているかです。

4: セルフプロモーション

クリエイターの技術もデジタルが進化して、より高く、誰もがデジタルツールを使えば作品を作れてしまう時代で、クリエイティブな間口がより広くなってきました。

新しいセンスや技術を持ったクリエイターはどんどん現われ、より競争率は激化していきます。

個人であれ、企業であれ、通常、案件を受注するためには自社の強みや独自性などをアピールして、営業しなければいけません。電話でアポイントをとって営業したり、直接訪問して営業したりSEO対策や、リスティング広告もその手法の一つと言えるでしょう。

個人であれば、メールやSNSを使って営業したり、手法はそれぞれですが、少なくとも、営業をしないで、仕事の依頼が来ることは信頼関係があるクライアントから紹介してもらったり、知名度や実績あったり特別な理由がない限りは、難しいでしょう。

そのためクリエイターにとってはどう営業していくか。それはクライアントだけではなく、制作会社や世間一般に、どう自分をアピールしていくか考える必要があります。

差別化を図る

例えば、弊社の場合、クライアントからアメコミ風の絵柄で描いてほしいという依頼があった場合、アメコミ風の絵柄で描ける人は、少ないので、どの方に依頼するかを決める際の、選択肢が少なく、特定の方に、依頼が行きやすかったりします。

このように他のクリエイターとの差別化が図られていると、依頼の際、すぐに名前が上がりやすいという傾向があります。

自分の武器は何なのかを、分かりやすく提示できるのも依頼をしてもらうためには、必要だと言えます。

5:広告マンガで食べていけるのか

クリエイターとして活動していくために、もっとも難しいことの一つが収入を得続けることです。収入を得続けることはつまり、継続して案件を依頼されるクリエイターでなければできません。

商業マンガであれば、雑誌で連載を持てば、マンガ家として継続的に収入を得られ、活動していくことが可能です。

では広告マンガの場合は可能か?

答えは可能です。

ですが、非常に限られた方で、誰でもできるということではありません。

広告マンガで収入を得続けている方は、SNSでの影響力が高い方や、非常に技術が高い方など、期間をかけて築き上げた信用の上に成り立っています。

この方に依頼すれば安心、必ず高いクオリティのものを、期間内に納品してくれるという安心感は、発注者の背中を強く推すポイントです。

まとめ

広告マンガを描きたい方は、様々な理由で応募されてきます。

クラウドソーシングや制作会社から依頼されて、案件で生活していきたい、雑誌で連載を目指しているので、絵の勉強をしたい。家事の空いた時間に稼ぎたい。連載が終わって、次の連載までの間だけやりたい。

広告マンガの場合は、どの事情であっても対応は可能です。しかしだからと言って、依頼が来るかはやはり別になります。

以前連載をしていたからといっても、依頼が行かない場合もありますし、連載を目指している専門学生でも、依頼が殺到する場合があります。

その理由は、このコラムとさらに次のコラムで、述べさせていただいたこととを踏まえているかが、鍵になると思います。

今回は依頼が来るところまでですが、次のコラムでは実際に依頼が来た場合の対応について述べさせていただいております。是非併せてご一読くださいませ。
依頼が多いクリエイターになるためには(2)~継続依頼が来る対応とは~

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