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マンガ動画を依頼する際の注意点 ~アニメーションとマンガ動画の違い~

マンガ動画を依頼する際の注意点 ~アニメーションとマンガ動画の違い~

アニメーションとマンガ動画の違いと聞いて正直同じではないのかと思う方はたくさんいらっしゃるかと思いますが、実は違う点が多くあります。

弊社でも、もしアニメーションやマンガ動画を制作を依頼する際、アニメーションの制作を依頼するのとマンガ動画の制作を依頼するのとでは予算も工数も大きく変わってきます。

ではなぜ変わってくるのかを、制作の観点から解説してみたいと思います。

1:アニメーションの制作方法

アニメーションと聞けば、ディズニー映画やジブリ映画あるいはワンピースや鬼滅の刃などの、テレビアニメーションを思い浮かべるかと思います。ディズニー映画等は、最近ではフルCGで表現されるように移行しておりますが、90年代以前のディズニー映画は、規模などは違えど、日本のアニメーションとあまり変わらない手法で制作されていました。

その手法が“手付けアニメーション”と呼べれるものです。手付けアニメーションとは、その名の通り、一枚一枚絵を描いて動かすというものですが、どのくらいの枚数を描いて動かすかと言うと…

◇ディズニーのアニメの場合

ディズニーが多く取り入れているのが、一秒に24フレームの場合は24枚、30フレームの場合は30枚と、いわゆるカメラのフレームをフルに使って動かす“フルアニメ―ション”と呼ばれる手法です。

キャラクターや動かすものの多さで変動しますが、単純に1秒間=24コマの場合、
・1分なら 1440枚
・10分なら 1万4400枚
・1時間なら 14万4000枚
という膨大な枚数を作画することになります。

5秒間というあっという間に終わってしまうような短さでも、120枚もの作画がされているとなると、どれだけ手間暇がかけられているかが想像できます。

◇日本のアニメの場合

日本のアニメの場合は創世記の頃はフルアニメーションを採用していたと言いますが、膨大な人員、予算と時間が必要なため、あの手塚治虫がリミテッドアニメーションという手法を取り入れてからは、このリミテッドアニメーションが主流になったと言われています。

◇リミテッドアニメーションとは何なのか

リミテッドアニメーションとは、先程フルアニメーションでは、1秒間が24コマの場合、24枚フルで作画すると説明しましたが、リミテッドアニメーションでは、枚数を割いて、1秒間に24コマの場合でも12枚あるいは8枚ほど作画して動かす手法です
※12枚でもフルアニメーションと呼ばれることはあります

いわゆる3コマ動画というものです。

なぜこのリミテッドアニメーションが主流となったかは、もちろん特に日本では70年代以降のアニメブームにより、1週間に1回放送される、TVアニメーションが多く制作されてきたため、納期に間に合わせるために作画枚数や、人員、予算、時間を削減できるリミテッドアニメーションを選択してきたという理由が大きくあると言われていますが、そのほかにも、時代が進むにつれ、人々が映画やドラマ、アニメを目にする機会がより多くなってきたことなどによりあえて動きを描かなくても、観客が“脳で動きを補完”することができるためです。

また動きだけでなく、ストーリーや心理描写を重視することで観客を魅了するなどの理由があると言われており、このリミテッドアニメーションの手法の発展によって、日本はジャパニメーションと言われる、独自のアニメーションを築いてきました。

参考までにこれまでのアニメーション映画ではどの程度の枚数が作画されたかと言うと、スタジオジブリで一番作画枚数が多い作品は「崖の上のポニョ」で、100分で17万枚の作画枚数。アニメ史上最多枚数の作品がディズニーの「ファンタジア」で、120分で100万枚と言われています。

単純に作画枚数だけで説明しましたが、そのほか、着彩、撮影、音楽、声と様々な工程を経て、アニメーションは制作され、何百人、何千人ものスタッフが関わることが多くあります。

2:マンガ動画の制作方法

一方でマンガ動画と言われるものがあります。マンガ動画と聞くと聞きなれない方がいるかと思われますが、大まかに”マンガ”を動かしたものと言う認識でいいかと思います。

アニメーションと大きく違う点は、アニメーションの場合、”1枚1枚差分、いわゆる動きの差”を描いて、動かすのに対して、マンガ動画の場合”1枚の絵”を動かすという点です。

もう少し詳しく解説していきましょう。

例えば、「フライパンを上下に振る」という動作を動画にする場合で、アニメーションとマンガ動画の違いを見ていきましょう。

▽アニメーションの場合

こういったかたちで、フライパンを上に上げてる絵と、下げてる絵を描きます。

日本のアニメーションではこれを原画と言われています。

更にここから、間の絵を入れていきます。“中割り”と言う作業で、原画と動画とも呼ばれています。この動画の枚数が多ければ多いほど、滑らかな動きになります。

たとえばこの上げてるの①の原画から、下げてる②の原画まで1秒かかるとします。先述したディズニーアニメのフルアニメーションだと、上げてるの①の原画から下げてる②の原画まで、24枚もの絵を描くということになります。想像するだけで、大変さが伝わってきます。

日本のリミテッドアニメーションだと、3コマに1枚ほど、上げてるの①の原画から下げてる②の原画まで、大体8枚ほど描くことになります。

ただしリミテッドアニメーションでは、手首の返しや、”ツメ”と呼べれる、詰まり動作などの手法によって枚数は少なくても、工夫して、自然に動いてるかのように表現しているわけです。

アニメーションの作画の手順を簡単に説明すると、このようになります。

▽マンガ動画の場合

では一方マンガ動画の場合ではどうなるのか。

マンガ動画の場合、動きの差分を描いていくのではなく、まず1枚、主体となる絵を描きます。

ではこれをどう動かすのか。そこで重要になってくるのが“レイヤー”と“レイヤー順”、”アンカーポイント”と呼べれるものです。

〇レイヤー

フォトショップや、イラストレーターなどのデザインで必要なソフトを使ったことがある方は聞いたことがあると思いますが、簡単に言うと、絵を重ねるということで、重なった絵の1枚1枚をレイヤー呼びます。アニメーションでは、”セル”と呼べれ、いわゆるセルアニメーションと呼ばれるものです。

マンガ動画では、この”レイヤーに分ける”作業が動きを豊富にするための重要な役割を果たします。

〇レイヤー順

その名の通り、レイヤーの重ね順のことですが、なぜレイヤー順がポイントになるかというと、このレイヤーをどのくらい分けて動かすかによって、動きの複雑さなどが表現できるためです。

例えば人間を動かす場合、人間には多くの関節があります。手だけ取ってみても、肩の関節、肘の関節、手首の関節、指の関節があり、指は5本ありますから、それぞれに関節があることになります。

それを例えば、肩と肘を一緒のレイヤーにするか、別々のレイヤーにするかでキャラクターの動きが変わってきます。より実際の人間の関節と同じようにレイヤーを分ける方がより自然な動きに近づきます。

もちろんその分、工数や手間はかかります。

〇アンカーポイント

アンカーポイントとは、いわゆる”動きの支点”のことです。

例えば腕を上下に振る場合、支点は肩になる場合が多いと思いますが、つまり腕を上下に振るという動作のアンカーポイントは”肩”になるわけです。

それにつらなって、手を動かす場合のアンカーポイントはひじであったり、手首になります。

マンガ動画の場合は、このレイヤー分けとレイヤー順、アンカーポイントをうまく設定すれば、腕を上下に振るという動作を、一枚の絵で表現できます。

ではやってみましょう。今回の場合、レイヤーはこのように分けます。

すると肘をアンカーポイント”支点”にすることによって、腕を上下に振ることができます。

しかしこれだけでは、ロボットのような硬い動きになりますので、それに連動して、手首、指にアンカーポイントを設定し、それを支点に回転させて、滑らか動きを追加していきます。

ただしマンガ動画の場合の弊害として、【角度を変えられないという】という点があります。3Dで表現されている場合は別として、2Dの一枚絵で描かれていますので、フライパンの表を描いた場合、裏を見せたりすることはできません。そのため上下に動かしたとしても、ずっとフライパンの表を見せていることになります。

もしフライパンの角度を変えたい場合は、作画するか、3Dで表現することになり、ここがアニメーションとマンガ動画の違いと言えるポイントでしょう。

ただし、作業効率としては、一枚の絵を描いてレイヤーを分ければ、概ね動かせるので、何枚も絵を描いて、さらに1枚1枚色を塗るアニメーションを考えればマンガ動画の方が作業効率としてはいいと言えます。

さらに、アニメーションの場合、原画を描く人、動画を描く人、色を塗る人、撮影する人、単純に考えて4人で分担して行うのに対し、マンガ動画の場合はほぼ1人か2人で作業することが可能です。

このようにして、アニメーションとマンガ動画では、手順や工数が大きく違うため予算や、納期には自ずと差が出てきます。

3:マンガ家とアニメーターは違う職業

アニメーションとマンガ動画の大きな違いの一つに絵を作画する、クリエイターの職種が違うというところです。

絵を描くことを生業にするというところは変わりませんが、マンガ家がアニメーションの作画を、アニメーターがマンガのコマ割りを描けるかというと必ずしもそうではありません。

アニメーターの場合は、特殊な技術を訓練によって、身につけている必要があるため、絵が描けるというだけでは、アニメーションをつけることは難しく、マンガ家の場合でも、ストーリーやキャラクターを考え、オリジナルのものを作り出し、読者の共感を得るための、知識や感性が必要になるため、絵が描けるからといって、マンガを制作することができるわけではありません。

広告マンガ・マンガ動画の場合は、事前にプロットやキャラクターデザインを用意し、クリエイターには作画のみを依頼することが多いですが、アニメーションの場合は、アニメーターという、専門技術の訓練を受けたクリエイター集団をアサインする必要があります。

4:依頼する際の考えておくべきポイント

では実際にマンガ動画を依頼する際、考えるべきポイントは3つります

  • ①実写の動画ではなく、絵で表現する必要性
  • ②アニメーションをつけることによって、何が訴求でき、何を訴求したいのか
  • ③動きの豊富さは、予算やスケジュールによって大きく変わるため、どのくらいの動きを求めるか

今はアニメーションやマンガ動画を目にする機会が多く、目新しさで観る人は、少なくなって来ていると言えます。

そのため、効果を得るためには、内容の充実さやインパクトが求められ、観ている人が、興味の湧くようなストーリー展開や、観ていて飽きさせないアニメーションを考える必要があります。

広告にアニメやマンガ動画を使いたいと思っているけど、どういった内容にすればいいのか、どういった動きをつければいいのか、予算はどのくらい必要なのか…お悩みの方は、是非弊社マンガビズまで、お気軽にご連絡くださいませ。

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