広告漫画の作り方 (3)キャラクターを考える
広告マンガのシナリオの土台ができたら、そのあとはシナリオの細かいところを実際に詰めていくことになります。
シナリオの細かいところを考えるためには、登場人物(いわゆるキャラクター)を考える必要があります。
主人公を考える
まず登場人物の中でも、主人公を決めなくてはいけません。
主人公を決めることによって、読者は誰の目線でこのマンガを読めばいいかが明確になります。
主人公の設定が分かりやすいほど、読みやすさや共感につながります。
さらに主人公を誰に据えるかによって、シナリオも大きく変わってきます。
例えば、あるコンサルティング会社の広告マンガを制作する場合を考えてみます。
主人公がコンサルタントなのか、あるいはその会社のカスタマー(顧客)なのか…
更に、コンサルタントであっても、または会社のカスタマーであっても。性別や年齢によってもシナリオは変わってくることになります。
【コンサルタントが主人公の場合】
・カスタマーが来社して、サービスの説明をする。
・新事業の開発や事業推進の奮闘ぶり
・新入社員の成長物語
【カスタマーが主人公の場合】
・友達に勧められて、来社、サービスの説明を受ける。
・悩みがあって、それを解決するために色々な会社を訪問、最後に弊社に来社。
・悩んでいるところに公式マスコットが突然現れて、サービスの説明を受ける。
あくまで一例ではありますが、それぞれ立場の違いによって、このようにプロットラインも大きく変わってきます。
では、コンサルタントとカスタマーどちらかを主人公にすることによって、読者の受け取り方はどう変わるか?
【コンサルタントが主人公の場合】
社員を描くことで、職場の健全さや、イメージの向上に繋がる。
【カスタマーが主人公の場合】
実際にサービスを受けた場合を想定し、追体験できる、共感性が高い。
前者では、よく採用目的などの場合によく制作され、
後者では、商品・サービス紹介のため制作することが場合が多いです。
サブキャラクターを考える
主人公が決まったら、その対となるキャラクターを考えます。
ここで注意しないといけないのが、登場人物の数です。
キャラクター数が増えると自ずと情報量も多くなり、本来伝えたい情報が伝わらなかったり、読みづらさを与えたりします。
広告マンガの場合は基本的に会話形式でシナリオが展開されることが多いので、主人公を含めた主要なキャラクターの数は2,3人が妥当だと言われています。(ページ数や内容にも左右されます)
先程の例で言うと、コンサルタントを主人公にした場合は、そのカスタマーがサブキャラクターとして有力です。
カスタマーを主人公にした場合はコンサルタントがサブキャラクターになるでしょう。
もし3人目のキャラクターを登場させる場合、カスタマーが主人公のケースではカスタマー目線でシナリオが展開することになりますので、家族や友人など、カスタマーに近い関係性のキャラクターになることが多いです。
一方でコンサルタントが主人公の場合、会社の同僚や上司などが3人目のキャラクターとして登場することが多いです。
それぞれのキャラクターには役割があります。
主人公がカスタマーの場合は「問題を抱える人」という役割になり、
2人目のコンサルタントは「問題解決をする人」、3人目の友人は「コンサルタントを紹介する人」という役割になるでしょう。
こうした役割が明確ではないキャラクターは、広告マンガにおいては説明を複雑にする要因になります。
特殊なケース…マスコットキャラクター
特殊なケースとして、会社のマスコットや、架空のキャラクター、動物などを登場させて、そのキャラクターに、サービスや商品の説明をさせる場合があります。
こうしたマスコットや架空のキャラクターを登場させる理由として、
・読者にインパクトを与えるため
・広告として記憶に残りやすくするため
・他の広告マンガと差別化が図るため
・読者の年代層にあわせるため
…等があります。
マスコットキャラクターを登場させ、いわゆる神様目線でサービスを解説することによって、複雑な情報であっても、整理して分かりやすく説明することが可能になります。
キャラクターの性格や容姿等を決める
主人公と、サブキャラクターを誰にするかを決めたらそのキャラクターたちの性格や、容姿など細かい部分を決めていきます。
広告マンガの場合は、マンガ雑誌などで連載されているストーリーマンガと呼ばれているものと違い、キャラクターの生い立ちや、心理的描写などを細かくマンガで描いていくことはページ数の関係などで難しく、省かれることが多いです。
ですが、ロボットや動物を登場させる場合を除き、あくまで人間を登場させる場合は人間らしさが必要であり、人間らしさがないと共感性は薄れることになります。
では人間らしさとは何かということですが…
例えば、コンサルティングの会社に行ってサービスの説明を受けたカスタマーは、喜んだり、不安になったり、あるいは怒ったりする場合もあるかもしれません。
そういった感情を表現することにより、人間らしく、読者もその感情に共感して読むといったことが生まれます。
つまり、物語が活き活きし、より自然なストーリーに見えるということになります。
またキャラクターの容姿を考える場合も、当然コンサルタント側は、カスタマーを登場させた場合、接客をするわけですからスーツなどの正装をすることが自然になります。
ちなみにその会社の制服がある場合は、その制服を着用させるだけで、何をしているか、どの会社のマンガかを一目で認識させることが可能になります。
一方、カスタマー側を主人公とした場合の容姿ですが。
こちらも共感性が必要な場合が多いので、あまり個性的な服装や外見にせずあくまで現実味のある、容姿に設定することが多くなります。
あまり個性的にしてしまうと、そこに読者の目が行ってしまい、本来伝えたい内容があまり伝わらないなどのことが起こり得ますので、そこは精査する必要があります。
少年誌などでは髪の色を青色や赤色にしたりすることでキャラクターの個性を作りますが、広告マンガはあくまで一般消費者をターゲットとしたマンガのため、キャラクターと読者を近づけることが共感のポイントであり、重要な点になります。
既視感を払拭するための方法
最近では、広告マンガも、普段目にする機会が、以前より増えてきました。
広告マンガだけではなく、マンガを使用していない広告も以前から世の中にあふれています。
その中で、目を止めて、さらにそこに載っている情報を読んで、実際に商品やサービスを購入してもらうまでにはやはり単純に「広告マンガを制作しました」というだけでは難しいのが現状です。
キャラクターを制作する場合であっても、先程述べたあまり個性的にしないということと反対に、より個性的に表現し、インパクトを出して、記憶に留めてもらうことも必要な場合もあると言えます。
その為には、前回の記事(1)目的を決めるでも紹介した通り、潜在顧客に向けて制作するか、見込み顧客に向けて制作するかのようにマーケティングで分析して、キャラクターを制作していく必要もあります。
キャラクターを派手にするのではなく、ユーザー心理に寄り添って、より覚えてもらいやすいキャラクターにするということが重要です。
まとめ
マンガ広告の場合も、ストーリーマンガ、または映画や小説などと同様に、キャラクターを制作し、キャラクターが行動することによって物語が生まれます。
物語の中でそのキャラクターはどういう結末を迎えるのか、ワクワク、ドキドキしながらマンガを読む、多くの方がそういう経験をしたことがあると思います。
これは、広告マンガでも同様です。
マンガで読者を魅了することは、キャラクターを制作する上でもとても大事なことです。
そのためにも、「このマンガは誰が読むのか」ということを意識して、その人にとって分かりやすい、共感しやすいキャラクターを作れるように意識したいですね。
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